ボクは幼少時から喘息を患っていたこともあり、高校生の頃から公害の原因となる車社会や物質文明、そして、生命よりも経済を優先するあり方に少なからず疑問を抱いていた。70年代後半に米国に渡った時は、ニューエイジが全盛期だった。スピリチュアルなものや自然環境などを尊重した生き方を提唱するというムーブメントで、日常のライフスタイルそのものを変えて行くことで、周囲の社会環境をも変わりえるという考え方に、ボクは将来の可能性を垣間みたように思った。
そのための具体的でオールタナティブな方法として、ヨガや瞑想、ベジタリアン、自然農法、ホーリスティック医療などが注目されていた。すでにヨガを始めていたボクは、心と体の繋がりに興味を深め、フロリダでオイルマッサージを習い始めた。驚いたことに、そこで出会ったアメリカ人たちは、日本人であるボクに、「マクロビオティックの久司道夫を知ってるか?」「自然農法の福岡正信を知ってるか?」と質問して来たのだ。
自然農法には興味があって福岡正信の著書は何冊か読んで知っていた。しかし、マクロビオティックも、久司道夫も初耳だった。実はこの2人こそが、当時のニューエイジ信奉者から尊敬された日本を代表する人物だったのだ。ボクはマッサージというボディワークの世界から、しだいに東洋医学に関心を持ち始め、気づいたら陰陽原理に基づいた玄米菜食法であるマクロビオティックに傾倒していた。
縁があり、この4月にマクロビオティック30年以上の橋本ちあきさんに、Yoga of Lifeで座談会をしていただくことになった。ちあきさんと言えば、25年前、自分の先妻と自宅出産を計画したときに、夢中になって読んだ出産体験記の著者だ。その体験記にどれほど興奮し、畏敬の念をいだいたことか。
そんなちあきさんと、昨年、小淵沢で開催されたマクロビオティック・コンフェレンスで出会うことになった。その時に聞いた彼女の正直でリアルな体験話は、今日、ヨガを学ぶ者にもとても共感するものがあると思う。ボクは今年でヨガを始めて30年目の節目を迎えるが、その間、食を通して生命について学んだことはとても大きい。この時期にちあきさんと出会えたことに、とても不思議な縁を感じる。
2008-02-19
カテゴリ: Toshiのつぶやき