クリパルセンターのディレクター、アンドリュー・タナーとパートナーのオーラムが帰国した。
下北沢Yoga of Lifeでのワークショップを皮切りに、山梨でのクリパルヨガ教師トレーニング(YTT)卒業生向けの研修会、横浜でのヨガフェスタまで、二週間の日本滞在だったが、彼らと日常を一緒に過ごしてみて、私はヨガの実践者の1人としてだけでなく、ヨガ教師として、そして人間、母として、とても印象に残った出来事がある。
ワークショップの合間に、彼らを富士山に連れて行き、京都へ向かう新幹線に乗るところまで、送り届けた。私と夫、それから4歳の息子も一緒に。最初の数日は、人見知りしていた息子も、この頃にはアンドリューにべったりになり、車の中でも、後部座席のアンドリューとオーラムの間に座って、日本語で話しかけ始めたほど、心を開いていた。
その日の晩のことだ。布団に入り、いつものように「今日のハイライト」をシェアし合った後、おもむろに息子が「I love you, Makiko. I love you, Toshiro」と、はっきりした英語で、話しかけてきた。わたしは、驚いた!なんてモノではなかった。彼が初めて話した英語がこれで、私は意味を日本語で教えた記憶はなく、唯一想像できたのは、きっとアンドリュー達が息子の側でこの言葉を囁き合ってたか、息子にその言葉を送ってくれたかどちらかだろうということくらいだった。
翌朝、夫の徒志郎にそのことを話すと、「昨晩1人で、I love youって、練習してたよ」とのこと・・・そしてやはり、夫も意味を教えたりはしていないそうだ。
息子はその言葉の意味を誰かから教えてもらった訳ではない。ただ、その言葉の音、話す人の表情、その時に感じたエネルギーで、「愛」を理解して、それを私や夫に伝えたのだろう。なんて美しくて、優しい出来事だろう。
真心や愛が、言葉を越えて人に伝わること、そしてそれを受け取る知恵は4歳の子どもの中にもあること。それはきっと誰の中にもあるけれど、なかなか実感しにくい幻の花のようなものなんじゃないかと思う。その花が、つぶさに咲いたところを見せてもらったような気がした。
私たちは日々、言葉を通して人と関わり合い、ヨガのティーチングも言葉によるところが大きいけれど、それが真心や愛から来ているかどうかは、言葉を越えて伝わり合っているのだろう。ヨガは「繋ぐ」という意味だと、あっちでもこっちでも聞くが、何に繋がりたいのかは私たち次第だ。私にとっては、この子どもが自然にやってのける純粋な愛を理解する知恵こそが、心から繋がりたい「それ」なのだろうと、今思っている。
2012-09-27
カテゴリ: アーユルヴェーダの日々