クリパル・ジャパンでは、クラスの開始時間に遅れて参加しても、終了時間前に退出しても、10~15分程度の範囲なら参加してもらっています。忙しい中でヨガに通い続けることはそれなりの決意と努力が必要ですが、予定外のことが起きることは誰にでもあります。それでもクラスに参加したいという希望は尊重したいと思います。
クラス時間に遅れた場合、「周囲に迷惑ではないか?」と気にするかもしれませんが、そのままクラスに静かに入ってください。すでに参加者は呼吸法や瞑想をしているかもしれませんが、空いているスペースにそのまま座り一緒に練習を始めてください。自分のマットを並べるのは、体を動かす指示が始まったらでも十分です。
終了時間の前に退出するときは、リラクセーションや瞑想をしているかもしれません。その場合は、マットなどのプロップ類は教師が片付けますから、そのまま参加者の気が散らないように静かに退室してください。
一方、すでに練習を始めている参加者は、クラス開始後に誰かが入室して来ると、その人へ場所を譲るために、自分の練習を中断してマットの位置を移動しようとします。しかし、体を動かす段階になれば、教師が遅れてきた人のためにスペースを開けるよう、皆さんにお願いするでしょう。それまでは、自分の練習に集中していてください。最終的に生徒全員が平等に場所を確保できるように配慮するのは教師の仕事です。
一般に、遅刻や早退は周囲に迷惑なことと考えがちです。周囲への気配りは素晴らしいことですが、気にし過ぎて自分自身への配慮が疎かになりがちです。気配りも譲り合いも大切なことですが、ヨガのクラスは社交の場ではある必要はありません。それぞれが自分自身と向き合う神聖な場ですし、各自が「自己管理」「自己責任」「自己観察」を実践する場だと思います。
それでも、周囲が気になり落ち着いて集中できなくなるのであれば、それは自分自身の中で起きている心の現れです。そのことに注意を向けてください。それも、ヨガで大切な「自己観察」の実践です。
人はそれぞれに、自分が行うべきことは何かを自分で考え、決断し、行動できる力があります。お互いの状況に気配りをしながらも、自分のことは自分の力で対応できる力を尊重し合える、快適で健全なクラス環境を作っていきたいと願っています。
三浦敏郎
1981年より神奈川県西部を中心にヨガ指導を始める傍ら、鍼灸院を開設。1991年、クリパルヨガの創始者、アムレット・デサイ師来日の際にスタッフ及び通訳を務めたことが転機となり、公認クリパル教師となる。気づきのプロセスを重視したフェニックス・ライジング・ヨガセラピーの要素を取り入れ、参加者の体験から学びを導き出すメソッドで数々の集中コースをデザインする。クリパルヨガ教師トレーニング・ディレクター。
[クリパル・ジャパン発行のニュースレター「Kripalu Sangha」 2016年冬号より引用]
2019-07-02
カテゴリ: スタジオブログ