※この記事は、2025年版として新たに加筆・再構成しました。初めて読む方も、以前読んだ方も、ぜひもう一度「Kripalu Experience」の意味に触れてみてください。
Kripalu Experience——これは1980〜90年代、アメリカ・マサチューセッツ州のクリパルセンターで発行されていたカタログのタイトルであり、その名はTシャツやスウェットシャツにも大きくプリントされていました。それは、クリパルセンターやクリパルヨガの理念や価値観、世界観、そしてそこにある「体験の質」を象徴するタグラインとして使われていたのです。
直訳すれば「クリパル体験」。一見、なんてことないシンプルな言葉です。けれど、このひとことには、クリパルの核心が込められていると今でも感じます。
私が初めてこの言葉に出会った頃、「Kripalu Experience」とは、センターの美しい森や湖に囲まれた環境、毎日行われるヨガや瞑想、美味しいベジタリアン食といった“滞在型リトリート”の総称だと思っていました。しかし、年月を経てヨガを深めるうちに、これは単なる場所やプログラムのことではなく、もっと本質的なものを指しているとわかってきたのです。
ヨガの体験は、人によってまったく異なります。前屈で心地よさを感じる人もいれば、不快さや劣等感を呼び起こされる人もいる。同じポーズでも、そこで味わう感覚や気づきは唯一無二。体験とは、本人だけの非常に特有で主観的な領域です。そして、その内的な体験からこそ、自分自身について学び、理解を深めていくことができます。
クリパルヨガは、その人固有の体験を何よりも尊重します。アメリカという多様性の中で育まれたこのアプローチは、「他人と同じでなくていい」「あなたの中に起きている、その瞬間の生の体験こそが大切」という価値観を大切にしてきました。Kripalu Experience というタグラインは、まさにその姿勢を象徴しているのです。
次回クリパルヨガのクラスに参加したときは、周囲の視線や「正しい形」にとらわれず、自分の内側で起きている感覚や感情をまるごと味わってみてください。それこそが、あなただけのKripalu Experienceであり、新しい世界への入り口になるかもしれません。
(初出:2023年2月9日)
2025-08-11
カテゴリ: クリパル単語帳