アーユルヴェーダの日々 - 映画「君の名は。」より~名前を呼ぶと、そのものの存在を感じる~

映画「君の名は。」ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
日本だけでなく、台湾、香港、タイ、そして中国でも大ヒット。すごいですね。

映画は見た人が、それぞれに感じ、解釈することのできるものだと思いますが、見終わってすぐ私が強く感じたのは、「名前」の持っている力でした。名前と存在感との相互関係の強さを感じたのです。例えば、名も知らぬ花に、「オオイヌノフグリ」なんて名前が付いているとわかった途端に、愛嬌のある花として記憶し、「それがある」と認識し始めたのを思い出します。自分の子供を産んだ時も、名前をつけることで、その子の存在を証明したような気持ちになりましたし、老いて記憶が薄くなって行く時、最後まで覚えているかどうか気になるのも名前でしょう。人は、名前というアイデンティティを伴って存在を感じるのだろうと思いました。

私はヨガだけでなくアーユルヴェーダもこよなく愛していますが、アーユルヴェーダの用語とその本当の意味を知るプロセスでも、同じことが起きていると思いました。そのものの名前を知り、認識すると、それが存在する世界で生き始めるように思うのです。それはまるで、既存の世界が新しく更新されるような体験です。

数年前、京都で瞑想リトリートに入っている時に、雪が降ってきたことがありました。
外に出てみると、空間に雪が舞っているのが見えます。空間と、そこに吹く風、風に踊る雪を見ていたら、「これがヴァータ(風と空)なんだ」と感じました。手に触れて溶ける雪を見ているとそこにはピッタ(火)による変換が見え、しゃがんで雪が落ちる土に触れると、カパ(水と土)の重さや冷たさ、不動さを感じる。それは論理的理解を超えた体験で、まるで今まで見えなかったものが見えたように感じ、とても感動したことを今でも忘れられません。

そんなアーユルヴェーダで初めて知った言葉に、スネハ(Sneha)という言葉があります。これは2つの意味を持ちます。1つは「オイリーさ」、もう1つは「愛」です。オイルのようになめらかで、少しベトベトする…愛とは決してドライなものではなく、粘性があり、心身がくっつきあったところにあるのだと、改めて教えられた気がしました。「君の名は。」の主人公達の間もこのスネハで繋がれていたように思えます。これからの、冬の寒さ、乾燥、そして、心身がカサついちゃった時は、スネハ、つまり、オイルと愛をたっぷり与えることが、癒しとなります。どうぞ温かく、しっとりした良い年越しをお過ごしください。

2016-12-10

カテゴリ: アーユルヴェーダの日々

 

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