ちょこっとヨガ講座 - ストレッチと強化の融合

「どんなヨガのポーズを行っても、じっくり観察してみると、筋肉はそれ自体の力ではストレッチできないことがわかるでしょう。ストレッチの感覚は、ある筋肉は収縮することで他の筋肉が緩み伸びることで生じます。能動的な収縮と受動的な弛緩の組み合わせこそが、体に有効で、強さと柔軟性を同時にもたらすのです。
ヨガは柔軟性を高めるものと思われがちですが、実はどのポーズでも、努力と解放の躍動的な調和によって、ストレッチと強化が融合するのです。」
『クリパルヨガ〜ヨガの実践と人生へのガイド〜』より

かつて鍼灸学校の解剖学の講師が「筋肉の働きは収縮にあり」ということを口を酸っぱくして伝えていたのが、今でもよく覚えています。

40年程前、ストレッチの重要性が言われ始めた頃、ヨガをして筋肉の柔軟性こそ価値があると信じていた自分にとっては、「収縮こそが筋肉の機能」だという言葉は新鮮で、同時に戸惑いでした。

その後、筋肉が伸びるのは、拮抗する筋肉が縮むからだということは徐々にわかってきました。
そうなると、私たちの体は、収縮と弛緩、能動と受動、強さと柔軟性、努力と解放という2つの両極、言い換えれば二元性の中で機能していることがわかるし、それはまさに、その両極でどうバランスを見つけていくかという人生のテーマとも類似していることに気づくのです。

極端に言えば、身体的ヨガの実践だけをしていたとしても、その中で必然的に体験するのは両極でバランスを取ろうとしている自分だし、よりバランスのとれたところで体験するのは心の安定感や静けさといった精神面での自分の姿であることは確かなのです。

「ストレッチと強化の融合」というのはちょっと軽々しく聞こえますが、交感神経と副交感神経のバランスとも関連があり、自力と他力、コントロールと放棄といった陰陽思想やヨガ哲学にも関連する実は深い話なのです。

2024-02-19

カテゴリ: ちょこっとヨガ講座

 

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