※このコラムは、2025年版として新たに加筆・再構成しました。初めて読む方も、以前読んだ方も、ぜひもう一度「ちょこっとヨガ講座」に触れてみてください。
前回のコラムでは、ヨガの教典『ヨガスートラ』に記された「8支則」について、2つの解釈の仕方を紹介しました。その中で、クリパルヨガではポーズ・呼吸法・瞑想が同時に進行するという独自の捉え方をしていることも説明しました。
この8支則をさらに斬新な切り口から解釈し、宇宙の根源であるチッタ(意識:心や精神の働き)とプラーナ(生命エネルギー:体や呼吸を動かす力)という2つの要素を包括した、いわば全体を見渡すパノラマ的視点を展開したのが、3つのステージというクリパルヨガの大きな特徴となるヨガへのアプローチです。
これは、以下のように8支則のうち5つの部門を3つのステージに分類し、それぞれに対して異なったアプローチと強調する点を与えています。
- ステージ1 = アーサナ&プラーナヤーマ
- ステージ2 = プラティヤハーラ&ダーラナ
- ステージ3 = ディヤーナ
ところで、「ヨガスートラ」の8支則と聞いてもよく理解できない方もいるかと思います。クリパルヨガの特徴というテーマからは多少離れますが、ここで簡単に説明しておきます。
- ヤーマ(禁戒)
他者(社会)との関係についてのガイドラインで、非暴力などの5つの項目があります。 - ニヤーマ(勧戒)
自分自身との関係についてのガイドラインで、知足(足るを知る)などの5つの項目があります。 - アーサナ(ポーズ)
肉体の緊張を取り除き、安定してリラックスさせること。 - プラーナヤーマ(呼吸法)
呼吸をコントロールし解放すること。 - プラティヤハーラ(制感)
感覚に巻き込まれないように、客観的に観察すること。 - ダーラナ(集中)
心を一点に集中すること。 - ディヤーナ(瞑想)
心の一点集中を持続すること。 - サマーディ(三昧)
観る主体者と観られる対象物が一体になること。
ここで疑問になるのは、なぜ8支則のうち5つだけを3つのステージとして実践するのかという点です。
最初のヤーマとニヤーマは、実践の部門とも言えますが、ガイドラインや倫理的な要素が強く、具体的な実践法とは質が異なります。また、最後のサマーディは、自らの意志で起こすものではなく自然に生じる体験です。
そういった理由から、クリパルヨガの3つのステージでは、実際の実践法として「ヨガスートラ」の8支則のうち5つのみを取り上げています。
それぞれのアプローチと特徴については、次回触れていきます。
(初出:2011年11月23日)
2025-08-13
カテゴリ: ちょこっとヨガ講座