例えば、学校や病院、そして企業などに出向いて、ヨガの恩恵を届けることができたらいいなと思いませんか?
今回は、「学校や職場でヨガを教える」をテーマにした記事をお届けします。
クリパルヨガ・イン・スクールズ(KYIS)のプログラム・リーダーであるジャナ・ディルガードとイオナ・スミス、そしてヘルスケア(医療機関や健康管理)に携わる人々にヨガを教えるクリスティ・ニューハートとアンジェラ・ウィルソンに話を聞きました。
スタジオを飛び出し世界へ
ヨガ教師は、学校や職場へどのようにアプローチしたらいいのでしょうか?
[クリスティ] 大胆でいること!組織の中で、教員や職員の健康管理を担当している人を見つける、もしくはそこで働いている人の中でヨガに興味がある人を見つけましょう。普段、ヨガを教えないような場所で教える心の準備をしましょう。私たちが担当している職場でのヨガクラスでは、騒音や明るい頭上の照明がありましたが、参加者はみな気にしていませんでした。私はそういう環境においてもヨガをするスペースが確保できること、そしてヨガがそんな中でも効果的であることを知りました。
[ジャンナ] 学校組織の中で、自分が持っているコネクションからとりあえず当たってみることをお勧めします。PTAといった団体や、学校で働く職員に知り合いがいれば、そこからアプローチを始めましょう。ヨガが効果的であるという科学的証拠を示すのと同時に、私たちが彼らとどういう人間関係を築くかが鍵となります。正当性が認められているクリパルヨガ・イン・スクールズ(KYIS)のようなカリキュラムをプレゼンテーションするのが、こういう場面で非常に有効になるのです。
[アンジェラ] このチャンスは長期に渡るものだと考えてください。最初のクラスに4人しか参加者がいなかったとしても、がっかりしないで。噂が広まっていきます。その4人が素晴らしい時間を過ごしたら、そこから広まってさらに多くの人がクラスに出てみたいと思うでしょう。練習を信じてください。
こうした人たち向けのヨガプログラムを作成する際に知っておくべきことは?
[イオナ] 過去5年間に経験した試行錯誤から、私たちは若者にヨガを教えるには特別なスキルが必要であることを学びました。2013年に「学校で教えるクリパルヨガ」教師養成コースをクリパルセンターで初めて開催しますが、そこでは私たちが学校で使っている24のレッスンカリキュラムを体験してもらいます。コースの最後にはスタートキットを持ち帰ってもらい、学校や若者グループにヨガを教えるためのマーケティング案もいくつか提供します。
[アンジェラ] 私たちが職場で教えるときは、ヨガがよいツールになることを伝えます。より多くの幸福感や繁栄をもたらすよう、自らの感情や思考を制御できるように助けてくれるツールがヨガだと。ヨガをスピリチュアルなツールとしてではなく、実用的なツールだと伝えれば、人はより興味を持ってくれます。私たちは、健康管理や精神衛生に携わる職員、看護婦、外科医といった職種の人たちを対象にした“フロントライン・プロバイダー”プログラムのために、多くの人が実際に役立つと感じられるストレス低減法やウェルネス・プログラムを作成しました。私たちが提供しているのは、さらなる豊かさを得るために、より少なく、よりしっかり生きるというパラダイムシフトです。それは、肉体にとどまり、マインドフルになるということ。私たちの文化においては、多くのところで逆の考え方をしていますね。
[クリスティ] シンプルなことはとても役に立ちます。最初は気づきとともに呼吸してもらうだけでも大きなことです。誰にでも簡単にできて、理解しやすいようにします。彼らは普段やっていることからの休息が必要なのです。ヨガを体験するのに、課題のように感じたり、大変な努力をする必要はない、と理解してもらいましょう。
[イオナ] 10代の若者とヨガをやるときは、「何のためにこれをやるの?」という疑問が、彼らの興味を引くための重要なきっかけとなります。そこで、私たちが提供するものは、普段の生活に使えるセルフケアのツールなのだと知ってもらうのです。生徒たちは、ヨガを日常にどう活かしているかを話してくれます。片鼻ずつの呼吸をテストの前にやってみるとか、怒りのこもったメールを送る前に深呼吸をしてみることで、喧嘩になる前に話し合いに持ち込めた、といった話をしてくれます。
ジムやスタジオでは普通できないようなサンガを、学校や職場で、生徒の中に作るようを促せる機会はありますか?
[ジェンナ] ほとんどの生徒たちにとって、これが初めてヨガに触れる機会になります。土台作りから積みあげていく作業をみんなで一緒にするので、その中から仲間意識や団結が生まれます。生徒が何かのスポーツのスター選手であろうが、ジムが嫌いな子であろうが、みんな一緒にヨガをしているのだから、そこから遊び場をレベルアップしましょう、と語りかけます。
[イオナ] それを可能にするのは、安全な場を作ること。そのことを強調することです。教室という環境で10代の若者が安全と感じることはあまりなく、その感覚が残りの人生にまで延長されることもあります。ですから、グループの中で安全だと感じることで生徒たちの間に強い絆を作ることにもなります。それが普段だったら関わり合わないようなグループ同士の若者の間でもです。
[アンジェラ] 職場では、私たちはマットの上とマットの外でのヨガについて教えています。例えば、流れに乗る、判断抜きに自身を見つめる、といったコンセプトです。シェアリングは、だいたい普段の職場でのコミュニケーションよりも繊細なので、最初はみんな少し神経質になります。徐々にバリアーが薄れてくるに従って、よりオープンになっていきます。8週間のプログラムの後半には、親愛の瞑想(loving-kindness meditation)を入れていくのですが、その頃には参加者の目に涙が浮かんでいたり、非常に感情的な体験をしていくようになります。そのおかげで、参加者はお互いのつながりをより強くします。この絆は個人同士にとって素晴らしいだけでなく、その会社や組織にとっても素晴らしいことなのです。なぜなら、人がお互いに絆を感じれば、仕事の効率も上がるからです。
社会でヨガを教えることは、ヨガ教師にとってよい生計となるでしょうか?それともセーバー(奉仕)としての活動になりますか?
[ジャンナ] 普通、学校では、ヨガプログラムへの資金を持ち合わせていません。クリパルの「ティーチング・フォア・ダイバーシティ基金」のような基金を探すこともできますし、地域の団体や企業にスポンサーになってもらうことにもトライできます。よい足がかりができれば、ヨガそのものが道を開いてくれることもあります。ヨガの効果が顕著になれば、学校がプログラムのための資金を調達してくれるでしょう。
[クリスティ] 割引料金でクラスをしてみたり、フリークラスを開催して、より多くの人にクラスに参加してもらえるような機会を作ることもできます。団体や組織の上層部の方に、あなたのクラスに参加してもらうのが最も早いでしょう。彼らが気に入れば、口コミが早く広がり、その組織のウェルネス・プログラムとして、あなたのサービスに対して資金提供してもらえるかもしれません。
[イオナ] 私の知り合いのヨガ教師は、学校教員向けのクラスと病院でのクラスを持っていますが、どちらも雇用保険からヨガクラスへの給付が出ています。機関によっては、福祉増進のヨガプログラムに、保険給付があることさえ知らない場合があります。
写真左より、アンジェラ、クリスティ、イオナ、ジャンナ
[米国クリパルセンター発行:YOGA BULLETIN 2013年夏号より抜粋]
2016-06-02
カテゴリ: Kripalu Newsletter