Kripalu Newsletter - アーユルヴェーダと「ギーという金色の女神」

アーユルヴェーダで「金色の女神」の異名を持つ「ギー」をご存知ですか?クリパルセンターのアーユルヴェーダ学部長エリン・カスパーソンが、その効能や魅力を紹介します。

キッチンカウンターに置いた、保存瓶に入った出来立てのギーは、魔法のような黄金色の輝きに満ちています。ギーを作る過程のナッツのような豊かな香りも好きだし、トーストに塗ったりソテーしたりするときに瓶にナイフを入れるたびに、この高品質のオイルを自分の細胞のすべてに取り入れるのだと思います。

アーユルヴェーダでは、特に地元の牧草で育てられたオーガニックの無塩バターから作られたギーは、大地の要素の最も純粋なエッセンスとされています。

ギーとは?

近所の健康食品店の棚や、クリパル・センターのダイニングホールのブッダ・バーの近くに、ギーが置かれているのを見たことがあるかもしれません。

ギー(ヨーロッパではクラリファイドバターと呼ばれる)は、バターを煮詰めて液体を蒸発させ、乳固形分を鍋の底に沈めるという錬金術的なプロセスから生まれたものです。ギーはストレーナーやチーズクロスを通して、煮沸消毒した保存瓶に注がれます。

ギーは純粋な油なので、乳製品のように腐ることがないため、冷蔵庫で保存する必要はありません。購入したい場合は、オンラインショップやお近くのインド料理店、健康食品店などで高品質なものを購入できます。

ギーの効能

アーユルヴェーダでは、ギーには明晰な頭脳と健全な消化力など、さまざまな利点があると説いています。

アーユルヴェーダの古典的なテキストであるチャラカ・サムヒタには、「ギーは、体質がヴァータとピッタに支配されている人、ヴァータとピッタの悪化による病気に苦しんでいる人、良い視力を望む人、老人、子供、弱い人、長寿を望む人、弱者、長寿を望む者、体力、顔色、声、滋養、子孫、体の柔らかさ、光沢、オージャス(生命維持の活力)、記憶、知性、消化力、知恵、感覚器官の正しい働きを望む者、火傷による怪我に悩まされる者に摂取させることが望ましい」と記されています。

また、ギーは「知性を高め、消化酵素を活性化させる」とも書かれています。

より科学的な言葉で言うと、ギーは消化管内の健康な微生物を維持し、効果的な消化と排泄を促進する働きがあります。神経系を含む全身の組織に栄養を与え、一日中穏やかなエネルギーを与えてくれます。ヴァータ(風と空の要素)とピッタ(火と水の要素)を主成分とする体質の方は、ヴァータの乾燥した軽くて荒い性質とピッタの熱くて軽くて鋭い性質を養うギーが最も効果的でしょう。

家庭でギーを作る

ギー作りは簡単で、作る量にもよりますが、15分から30分ほどで完成します。必要なのは、1ポンドの無塩バター(できればオーガニックのもの)だけです。1リットルの厚手の鍋にバターを入れ、蓋をせずに中火でバターが溶けるまで加熱し、中火〜弱火を維持する。ギーは焦げやすいので、よく観察してください。

バターが泡立ち、鍋底に白っぽい乳白色の固形物ができ始めます。固形ミルクが薄いきつね色になったら、火を止めます。30分ほど冷ましたら、目の細かいふるいかチーズクロスを何枚か重ねて、蓋のしっかりした清潔で乾燥したガラス容器に注ぎます。

ギーは、蓋をしてキッチンの棚に置いておくことができます。冷蔵の必要はありません。ギーに水や食べ物が入ると腐敗の原因になりますので、ギーは常に清潔で乾いたスプーンやナイフを使用してください。

ギーの使用方法

ギーは調理や炒め物に最適です。短鎖脂肪酸であるため、煙点が高く、高熱でも発がん性のフリーラジカルを発生させません。つまり、ココナッツオイルやバターと並んで、最も安全な調理用油脂のひとつなのです。

また、ギーは以下のような使い方もできます。

  • バターの代わりにトーストに塗る。
  • 朝食のシリアルに小さじ1杯のギーを入れる。
  • コーヒーにギーを入れる。
  • 蒸した野菜、ジャガイモ、米に溶かしてかける。
  • ギーでスパイスを炒め、スープやシチュー、キチャリに加える。



また、料理中に火傷をしたら、ギーを塗ってください。ギーには体を冷やす作用があり、やけどを治す効果もあります。

[クリパルセンターリソースからの抜粋]

Makiko’s Commentary

最近は日本でも、スーパーの棚で見つけられるくらい、ギーは一般的で、簡単に手に入るようになってきています。

グラスフェッドのオーガニックのバターが見つかれば、このコラムにあるように手作りのギーを簡単に作ることができます。ただし、一般的に売られているバターでギーを作った際、アメリカで実習時にみたのとは、違う状態になった経験があります。日本の乳製品は、すでに加工されていることが多いので、賢く選ぶことが鍵になります。

また、比較的油(特にバター)を使わない日本の料理を食べ慣れていたり、動物性食品や乳製品を取らない食生活をして来た方の中には、ギーが苦手という方も、時折いらっしゃいます。アメリカやカナダでAHCを実施した例の中には、ギーが嫌いという人はほとんどいないので、食文化的な影響もあるのかもしれません。

このコラムにあるように、ギーは心身両面に滋養、しなやかさ、潤いを与えるスーパーフード。

良い質のギーを清潔に保てば、100年もののワインのように熟成されるだけで、永久に劣化しないと言われているほどですから、自分の体質にあったスパイスを加えたり、ほんの少しの量から始めていくよう勧めています。

ちなみに私は、初めて口にした時からずっと、ギーが大好きです。

アーユルヴェーダのヘルス・カウンセリング(AHC)を受けよう!

2022年5月、三浦まきこによるアーユルヴェーダ・ヘルス・カウンセリングの受付を開始します。
マンツーマンで体調や心理状態、日々の生活習慣などを聞き取り、日々の生活で実践可能な「手作りの暮らしのレシピ」を提案します。
アーユルヴェーダやヨガに馴染みのない方も安心してお申し込みください。

AHC詳細ページへ
※2022年5/23より受付開始

集中コースでアーユルヴェーダを学ぶ
※受付中

2022-05-12

カテゴリ: Kripalu Newsletter

 

Mail magazine

クリパル・ジャパンのメールマガジン
「KRIPALU EXPRESS」
ワークショップのお知らせや最新コラムなどをお届けします。
お気軽にご登録ください。

Corporate info