ちょこっとヨガ講座 - クリパルヨガの特徴③:選択の自由

動きを通して気づきを促すボディーワークとして知られるフェルデンクライス・メソッドの創始者、モーシェ・フェルデンクライスは、「自由とは選択肢のあること」だと述べています。何かをする時に、いくつかの選択肢があれば、一つの選択肢しかない時よりも自由があります。

アーサナ(ヨガのポーズ)をする時に、いくつかの選択肢があれば、それだけで自由が与えられた感じがするでしょう。クリパルヨガでは、基本となるアーサナを教えながら、それとは別の方法も積極的に提示しています。それは、「出来ない人に出来る方法」を提供しているのではなく、「出来ても違う方法」をあえて提供しようとしているのです。そのことで、自らが選ぶという主体性が育まれてくるからです。

大人になると「自分のやり方」というものが習慣化してきて、毎日がマンネリ化しがちです。その習慣から抜け出て違ったことを体験すると、学びが深まり人生が豊かになるものです。同じような観点から、クリパルヨガでは、アーサナそのものを人生に見立て、そこでいろいろな体験をしてみよう!と提案するのです。

したがって、アーサナの完成形に至ることをゴールとするのではなく、その過程でいろいろな体験をすることで、自分自身の探求をサポートしようとしています。道のりが最短距離であっても、それが習慣化された道程であれば、その人には何の選択も自由も主体性もありません。逆に、道のりが長く苦労したとしても、それを自ら選んでいる人には主体性と自由が伴います。主体性のないヨガの練習では、複雑な人生に応用することは難しいでしょう。

基本と違うアーサナの練習法として、クリパルヨガでは、やや強度なやり方をバリエーション、やや易しいやり方をモディフィケーションと呼びます。しかし、この2つの間には優劣はありません。強度が強いからアドバンスで、易しいから初心者向けということではないのです。たんに2つの違う方法があるだけです。そして、クリパルヨガでは、その2つの違う練習法を合わせてオプション(選択)と表現し、優劣ではなく、本人の必要に応じて自由に選んでもらおうとしています。ここに個々の必要性や主体性を尊重するあり方が感じられます。

次回、クリパルヨガを練習する時には、自分は「出来るからいい」ではなく、出来ても「違う方法でやってみよう」と、自分に他の選択肢を与えてみてください。そして、その選択肢から「自分は、今、何を必要としているのか?」と自問してみてください。その選択の中で要求される主体性や決断力、さらに、自分が決めた選択によって引き起こされる結果を受け入れ責任を持つという体験をしてみてください。これらすべてのことがヨガマットの上で意識的になされていく時、ヨガの体験だけでなく、人生がより豊かになっていくことでしょう。

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2010-09-27

カテゴリ: ちょこっとヨガ講座

 

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