現代の私たちは、朝から晩まで情報の波にさらされ、何かを生み出し、消費し続けながら、次々に起こる出来事に反応して生きています。気づけば、心も体も休む間もなく動き続けている──そんな毎日ではないでしょうか。
だからこそ、古代から続く瞑想という実践が、いまの私たちにとってかけがえのないものになります。
それは、心と体を静かに整えるだけでなく、自分という存在と深くつながるための時間でもあるのです。
瞑想には「正しいやり方」も「間違ったやり方」もありません。
- 頭が空っぽにならなくていい(思考は自然に湧いてくるもの)
- 思考が止まらなくてもいい(むしろ浮かぶままにしておけばいい)
座って目を閉じるだけが瞑想ではなく、歩くことや料理、自然を眺めることも立派な瞑想になります。そのためには、自分の中で何が起きているかに注意を向けていくことです。
例えば、
- 身体の感覚
- 呼吸の様子
- フィーリングや感情
- イメージや記憶
- 想念や思考
こうした体・呼吸・心を含めた、自分の全体像をそのままに観察することです。そうすることで、日常では見過ごされがちな、自分のさまざまな側面と触れる、ときにはほっとした穏やかな時間になるでしょう。
また、瞑想で得られるのは、単なる心の穏やかさや静けさだけではありません。瞑想によって、よりよく理解できるのは私たちの心というものでしょう。
例えば、心にはこんな性質があります。
- 何か興味深いことや面白いことを求めている
- 気になることや関心があると注意が向く
- 起きていることの理由や原因を知りたがる
- 問題があれば、自然に任せるよりも解決策を探そうとする
こうした心の自然な働きを知ると、その心を責めたり、押さえ込もうとするのではなく、受け止め易くなってきます。
瞑想で心というものを理解し始めると、自分や人との関わりにも少しずつ変化が起きてきます。
最後に、今日からすぐにできる呼吸に注意を向ける瞑想の3ステップをご紹介します。
- 目を閉じて、1〜3分ほどゆっくりと息を吸い、息を吐く
- 1分ほど体が自然にしている呼吸に注意を向ける
- 目を開ける前に、体や心の状態に変化が起きてないかチェックする
たとえ大きな変化がなくても、それで大丈夫です。大切なのは「今の自分」に気づくことです。
瞑想は、自分の中で起きていることに注意を向け、今一度、自分がリアルに存在しているところに立ち戻る時間です。
その存在感の中から湧き出る洞察や慈しみ、生きることへのモーチベーションは、日々の暮らしを支え、自分や周囲との関わりやつながり方にも、静かで確かな変化をもたらしてくれるでしょう。
三浦敏郎
1980年代からヨガ指導の傍ら鍼灸院を開業。教師と生徒、治療家と患者との間の縦関係に疑問や限界を感じる中、意識のヨガと呼ばれる「クリパルヨガ」と、気づきのプロセスとクライアントの主体性を重視した「フェニックス・ライジング・ヨガセラピー」に感銘を受け、90年代にそれぞれの公認教師、およびセラピストとなる。現在、クリパル・ジャパンの代表として、日本でのクリパルヨガ教師トレーニング、およびフェニックス・ライジング・ヨガセラピーの養成ディレクターとして活動。
瞑想を学び、深めたい人へ
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2025-09-30
カテゴリ: スタジオブログ